多額の出資発表にも、ブロックチェーン企業からの批判相次ぐ
韓国政府が`、ブロックチェーン産業を育成するために来年も公共モデル事業を増やして、100億ウォン(約10億円)以上の予算を投入することに明らかにした。しかし、ブロックチェーン業界で、ICOを排除した韓国政府の政策は評判が悪い。限られた政府予算に頼るより、ICOを許可してブロックチェーン企業自ら資金を調達できるエコシステムの構築が必要とされているためだ。
同国政府は、ブロックチェーンの公共モデル事業を今年の6件から来年は12件に増やし、ブロックチェーン産業の育成に乗り出す予定だ。予算は、公共機関と民間企業を合わせて100億ウォン(約10億円)以上を投入する。
具体的なモデル事業もすでに発表
これに先立って、科学技術情報通信部は今年6月「ブロックチェーン技術の発展戦略」を発表した。△畜産の履歴管理 △スマート通関サービス △簡易不動産取引 △オンライン投票 △国家間の電子文書の流通 △海運物流などブロックチェーン6大モデル事業を決定し、42億ウォン(約4億2,000万円)を出資した。
この中には以下の内容も含まれている。
民間企業の技術競争力の向上のためのブロックチェーン技術サポートセンターを構築して、テストベッド及び信頼性評価のサービスを提供する。また、ブロックチェーンの標準化ロードマップを高度化して、主要産業分野にブロックチェーンを適用する際の業界間の協議及び互換性確保のための標準化を進める。
民間のブロックチェーン事業への影響は?
来年には韓国インターネット振興院(KISA)を中心にブロックチェーンのモデル事業を対象として、犯罪記録や基金管理、中古車履歴管理、音源流通などの分野を検討中だと明らかにした。公共モデル事業と共に民間主導のブロックチェーンの国家規模でのプロジェクトも進める予定だ。具体的なモデル事業拡大の内容は年末に開かれるブロックチェーンのハッカソンで公開する方針だ。
政府が先頭に立ってブロックチェーン産業の育成に乗り出すということは、企業にとって後押しとなる。しかし、ブロックチェーン業界は、政府の取り組みに満足していない。業界は、ブロックチェーン関連のスタートアップ企業の資金調達手段になるICOの迅速な許可を必要としているのだ。
ICO禁止以前には、ICOでの資金調達の成功事例も
実際、韓国政府のICO禁止の発表前である昨年同国内でICOを実施したブロックチェーン企業GLOSFERは、仮想通貨HYCONのICOを通じて当時148億ウォン(約14億円8,000万円)(3500BTC)の資金調達に成功した。
韓国ではICOが禁止されているが、スイスやシンガポールではICOを奨励する政策を取っているため、韓国のブロックチェーン企業が海外に出てICOを準備する事例が少なくない。
ICOは、現金で資金調達する資本市場のIPOやクラウドファンディングとは違い、ビットコイン、イーサリアムなどの流通が可能な仮想通貨と交換する方法で資金を集める。
ICOの禁止ではなく、明確な規制を求める声
業界関係者は「ICOを悪用した詐欺などを心配する声もあるが、よいアイデアを持ったスタートアップ企業がICOを通じて多くの資金を調達し、事業を実現させた事例も出てきている。スタートアップ企業の重要な資金調達であるICOをやみくもに禁止するのではなく、明確な規制やガイドラインの下、ICOをできる環境を作られなければならない」とコメントした。
済州知事がブロックチェーン事業をリード
一方で、済州特別自治道はスイス・ツークの「クリプトバレー」をベンチマーキングして済州島をブロックチェーンと仮想通貨の規制特区にする構想を練っている。特に元喜龍済州島知事が直接政府会議を始めとするブロックチェーン関連カンファレンスに積極的に参加するなど特区指定の必要性をアピールしており、韓国でもブロックチェーン企業が待望しているICOの許可が下りることが期待されている。
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引用記事:http://www.asiatime.co.kr/news/articleView.html?idxno=198320
(「韓国政府、100億ウォンのトークン出資」『Asiatimes』2018年9月7日の記事)
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翻訳:花崎
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