▲GAMEHUBKOREAのキム・ホガン代表
2015年6月。東南アジアのある国でゲームアイテムがハッキングされる事件があった。現金40億ウォン(約4億円)規模のゲームマネーとアイテム350万個が盗まれた。
ハッキング事件が頻繁にあった東南アジアだがそれまでとは違った。
通常1週間以上掛かったアイテムハッキングの処理が180分で完了。ゲーム会社のサーバーに保存されていたアイテム(非活性化分)まで含めて被害を受けたアイテムの92.5%が回収できた。
「ブロックチェーン技術を活用して盗まれたアイテムを追跡することができた。過去の同様のケースではアイテム回収率は20~30%だったので、相当意義のある変化」
この事件は、ゲーム業界で経験豊富なGAMEHUBKOREAのキム・カンホ代表がブロックチェーン事業へ飛び込むきっかけとなった。分散台帳にすべての取引を記録するブロックチェーン技術の可能性に注目した。
キム代表は「これまではログの分析によってなくしたアイテムを追跡したが今回はビットコインのコードの一部をアイテムに適用したおかげで危険なIPを簡単に絞ることができた」とコメントした。
キム代表はliveplex、MAKEUSなど、ゲーム・コンテンツ業界で開発理事・最高技術責任者(CTO)を務めた開発者出身CEO。2017年3月ゲームプラットフォームスタートアップ企業GAMEHUBKOREAを設立。2017年11月ゲームアイテム決済・ゲームマーケティングなどで使える仮想通貨「PlayCoin・PLY」をリリースした。
PlayCoinは、今年2月まで行われたICOで日本・中国系から3300万米ドル(約36億7000億円)規模の投資を受けた。今年4月台湾の仮想通貨取引所であるCOBINHOODで初めて上場。5月にはシンガポール取引所LBANK、9月には韓国取引所Bithumbに上場し取引されている。
「PlayCoinによるゲーム市場イノベーション」を目指すキム代表を取材した。
◎ゲームを知らせる度PlayCoinでリワード…「独占・寡占改善しなければ」
-PlayCoinとは?
「PlayCoinは、ゲーム決済とデジタルマーケティングで使えるブロックチェーンベータの仮想通貨。PoWなど、既存のマイニング方法ではなく、Social Minning概念を導入した。ゲームのユーザーやインフルアンサーがSNSにゲームを広告すれば寄与した分PlayCoinでリワードする仕組み」
「ゲーム会社は、マーケティングコストが削減できる。ユーザーはPlayCoinを取引所で売買することで利益をだすことができる。さまざまなゲームアイテムを決済するときも使えるようにPlayCoinのエコシステムを拡張していく予定」
-ゲームマーケティングに関心を持つ理由とは?
「現在モバイルゲーム市場を見ると、GoogleとAppleが独占・寡占している、Googleのアプリストアは平均30%の手数料を取る。他のマーケティング市場の場合、SNS・リアルタイム配信プラットフォームが40~70%の手数料を取る。」
「高い広告コストや手数料によって大手ゲーム会社ではないと生き残ることは非常に難しくなった。ゲームのクオリティーが低いわけではなくても資金調達ができないという理由で廃業することになる。このような状況を解決する必要があると思った」
▲PlayCoinが目指すエコシステム
-PlayCoin活用すれば解決できるのか?
「GoogleやAppleを追い抜くことはできないかもしれないが市場の一角を占めることはできると思う。実際ゲームをプレーするユーザーがPlayCoinを通じてゲーム広告するため削減したマーケティングコストをユーザーに使うことができる。また正確なマーケティング成果指標・データを得ることもできる」
「インディーゲーム会社の場合、ゲームの売上100万米ドル(約1億1000万円)まで手数料を弊社が支給する計画。ユーザーはマーケティングに参加することでコインをもらう。このコインをまたゲームのエコシステムで使うという好循環が期待できる」
-ICOにどのような投資家が参加したのか?
「中国ブロックチェーンQtumを始め中国・日本系の投資家が9割。最初韓国の投資家も参加できるようにする予定だったがICO規制など、韓国政府のガイドラインを遵守するため除外した。」
◎ブロックチェーン万能ではない…中国市場攻略
-決済するときどのように活用できるのか?
「東南アジアではアイテムを取引するとき前払い式カードを多く使用しているが盗難されるなどの問題がある。追跡可能なスマートコントラクト機能のあるPlayCoinを使用すればユーザーはより安全に取引することができる」
「最近仮想通貨ウォレット上でゲームショップをオープンした。決済ゲートウェイも常用化する予定」
-PlayCoinはQtumベースからイーサリアムベースへプラットフォームを変えた
「ユーザーを保護するため変えた。ウォレットのエラー・シンクの不一致などQtumのエラーが続いたから」
「イーサリアムの場合、MyEtherWallet(MEW)という検証されたウォレットがある。ERC-20へ転換することでウォレットコア機能に集中することができる」
▲ソーシャル信用レベルによるPlayCoinの配布周期
-今後ブロックチェーンの技術・産業の未来について
「多くの人々がブロックチェーンと仮想通貨について心配することは当然なこと。ドットコムが登場したときもインターネット企業が警察から聞き取り調査を受けるなど抵抗感があった。歴史的にみてもクレジットカードが使われ始めたのも長くない。PayPalが登場したときも決済詐欺が6%だったが現在は0%」
「ブロックチェーンが万能だと言い切るのではない。ブロックチェーン技術が活用できる分野では積極的に導入しなければならないと思う。中国は、政府からブロックチェーン技術開発・輸入を推進している。中国ジュニアブロックチェーン開発者が年収6万米ドル(約700万円)もらうくらい。中国の若者たちがブロックチェーン・仮想通貨分野に積極的に飛び込む理由だ。」
-PlayCoinの今後の行き先は?
「ブロックチェーンの技術力を武器に中国市場を攻略する。現在韓国で40人採用した。世界のどこに行ってもブロックチェーンプロジェクトがリードできる実力者」
「中国の電子商取引サイト『Tmall』に入店した企業のうち売上上位100企業は、NASDAQ上場基準を満たすほど大手企業。中国企業らが決済などで使うブロックチェーンサービスを提供すればより大きなチャンスとなる」
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引用記事:http://biz.chosun.com/site/data/html_dir/2018/10/02/2018100201759.html
(「PLAY coinキム・ホガン代表「ゲーム市場の独占・寡占解決…中国市場攻略」」『biz.chosun』2018年10月3日の記事)
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翻訳:元
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